学術活動
熱交換器を用いた透析用原水加温による省電力化透析システムの構築と使用経過
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日付2017/08/27
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学会・研究会第12回日本クリアランスギャップ研究会学術集会
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発表者鳥谷部康喜
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所属大原
【目的】
熱交換器を用いて、水処理装置排液及び透析液排液と透析用水処理システムに使用する原水(原水)を交差させ、原水加温ヒータの使用電力量を低下させる省電力化透析システムを考案し、透析排液熱回収装置(W熱交換システム)として5年間使用してきた。
システム導入前後から現在までの節電効果、熱交換器の内部の状態などについて検討したので報告する。
【方法】
システム導入前後からの月毎の平均気温、原水温度、透析日数、クール別透析回数、各部位の液温などからシミュレーションした消費電力量を計算した。また、施設全体の電力使用量についても検討した。
システムの安全性については、1年経過時、5年経過時に熱交換器を分解し、内部の状態を検証した。
【結果】
原水温度が最も低い2月は熱交換器前後で8.3℃から21.5℃と平均13.2℃加温され、原水温度が最も高い9月は24.5℃から29.7℃と5.2℃加温された。電力量の削減はそれぞれ45.1%、15.7%であった。
システム導入後から5年間の年間電力使用量に大きな変化は見られなかった。
熱交換器の内部は目視において付着物や部材表面の変化は見られなかった。
【考察】
比較的温暖な千葉県においても冬季(2月)に45.1%、夏季(9月)には15.7%が削減可能であったため千葉県より原水温が低い寒冷地においてはより一層の削減が期待できる。
1年及び5年間の観察から水処理装置排液熱交換器の異物付着は認められなかった。
5年間使用した透析排液熱交換器内部に付着物が認められたが、排液貯留タンクの汚れが原因と考えられたため1年に1度程度のメンテナンスを要すると考えられた。
【結語】
W熱交換システムを導入し、消費電力について評価を行い透析施設における省電力化に有効であることを確認した。今後は、個々の医療機器のみならず、システム全体、病院全体を視野に入れた省電力化が望まれる。