このページの本文へ移動

学術活動

多人数用透析液供給装置における貯留時・送液時の透析液濃度変化

  • 日付
    2015/04/15
  • 学会・研究会
    第42回 日本血液浄化技術学会
  • 発表者
    糸久あゆみ
  • 所属
    大原

緒言

多人数用透析液供給装置(以下、CDDS)は使用する透析用監視装置(以下、監視装置)の台数によって送液量が変化する。CDDSにおいて、透析液貯留時および送液時の透析液濃度を経時的に測定し、CDDSと監視装置での透析液濃度の経時変化および透析前透析液濃度確認のタイミングを検討したので報告する。

方法

東レ社製50台用CDDSと監視装置を用い、CDDSおよび末端監視装置の透析液(扶桑薬品工業社製キンダリー透析剤3E)濃度を測定した。測定時間は5~10分毎に透析液作成開始(送液時)から透析開始前(貯留時)までと、30分(送液時)毎に透析開始前(貯留時)から全台透析終了時までとした。透析液濃度測定にはSIEMENS社製血液ガス分析装置を用いNa、K、Ca、HCO3、pHおよびPCO2を測定した。

結果

どちらの方法においてもCDDS、末端監視装置ともにNa、K、Ca、およびHCO3の経時変化はなかった。一方pHとPCO2においては透析液作成開始から終了までpHは安定後約0.08上昇、PCO2は安定後約7.4mmHg低下した。また、透析開始から終了までpHは低下後安定、PCO2は上昇後安定、透析終了後の貯留時は開始前と同様の値までpHが上昇しPCO2が減少した。

考察

透析液のpHおよびPCO2は基準値の範囲内ではあるが経時的に変化した。これはCDDSからの送液量が変化するためと考えられる。適正濃度の透析液を供給するためには経時的な濃度測定が重要であり、透析開始前の透析液濃度の測定は、CDDSを送液状態にし、濃度を安定させて行うべきである。

他のクリニックへ